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2020/08/19

シャドウITが流行る予感


 大きな会社には情報システム部門があって、従業員が使うハードウェア、ソフトウェアのお膳立てを担っている。ただ、いい加減ではすまされないので新しい動きに対応するのに時間がかかる可能性もある。また、小さな会社は専任のIT管理者を置く余裕がなかったり、経営者の考え方によって、これまた融通がきかなかったりする。さて、どうしたものだろう。

知らずに使うシャドウIT

 ITの世界には「シャドウIT」という言葉がある。組織からナイショで運用されるITのことで、いわゆる勝手ITとして、管理者の許可なく各種のクラウドサービスなどを活用する。単純な例でいえば、ちょっとした打ち合わせをLINEですませるといったことも、シャドウITといえばシャドウITだ。いや、私物の携帯電話で仕事の連絡をするのだって似たようなものだ。もちろんこうした行為を明確に禁じている組織も多い。
 コロナ禍で在宅勤務のような勤務形態が求められるようになると、今まで会社で使ってきたIT環境を、仮にそのまま自宅に持ち帰ることができたとしても、何かと不自由を感じることがあるかもしれない。だからといって、情報流出やセキュリティのことを考えると、ここでシャドウITを積極的に勧めるわけにはいかないのだが、そこはそこ、蛇の道は蛇だったりする。
 これから変わっていく世の中では、もしかしたらシャドウITが、これまで以上に浸透していくかもしれない。組織がめんどうをみてくれないなら、自分たちでやるしかないというわけだ。学校の管理職が決断してくれないから、YouTubeでリモート授業を始めてしまうといったことも、そんな動きだといえる。
 リスクを伴うシャドウITが蔓延する前に、使う側が本当に求めている環境を用意するのが本筋だと思うのだが、背に腹は代えられないというのが本音なのだろう。逆にいうと、そういう有志が存在する限り、組織の活性化は衰えない。

無料で使えるTeams

 以前、会社をクラウドに置いて仮想化したいならマイクロソフトのクラウドサービス Teamsを使うのが手っ取り早いと書いた。Teamsの基本的な機能は無料で提供されている。Teamsの概要が紹介されているこのページの最下部に「よく寄せられる質問」が記載されているが、本当に無料で自分が主催するチーム用に10GBのスペースと、一人当たり2GBの個人用ストレージが利用できる。つまり、誰でも無料でクラウドに事務所を構えることができるのだ。
 職場の有志が集まって、臨時の事務所をクラウドにつくり、そこに集まって作業をしたいと思うなら、こうしたサービスを使うのもひとつの手だ。個々のメンバーが自分自身の個人事務所をクラウドに置くような使い方もできそうだが、チームで仕事を進めるのにそれでは不便だ。誰かが代表となって「○×会社分室」のようなクラウド上の事務所を作り、そこに個々のメンバーを招待しよう。
 ちなみに、場合によっては所属する組織がTeamsを使うライセンスをすでに持っているのに使っていないだけの可能性がある。トラブルを回避するためにも、サービス利用には個人で使っているメールアドレスを使ったほうがいい。個人で使っていてもGmailのアドレスなども、膨大な数のユーザーが@gmail.comのアドレスを持っている。メールアドレスの@の右側が同じだと同じ組織だと判断され、運用がややこしくなってしまう。組織が正式に利用を開始していない限りは、outlook.comなど、パブリックメールサービスとしてマイクロソフト自身が運用するWebメールサービスで、新たにアカウントを取得してTeams専用に使うことをおすすめする。