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2021/04/12

モビリティにこだわると生産性が下がる


 この10年間で、いろんなものが小さい方にシフトした。大きくて取り回しがたいへんだった機器が、モビリティ確保を御旗に掲げ、どんどん小さくなっていた。そして、その反動も起こっている。

一家に一台15.6型パソコンの時代

 かつて、パソコンが一気に普及した頃、一家に一台とされて日本中に浸透したノートパソコンは15.6インチのものだった。メモリー現象でへたりやすいニッケル水素バッテリー、フルHDには届かないHD解像度。重量は軽く2キロを超えていた。でも、使わないときに片付けておけるというだけで、そんなノートパソコンが日本中に浸透した。

 スマホはどうかというと、最初は4インチ程度のディスプレイサイズだった。ポケットに入れるにもちょうどいい。まさに、パーソナルなイメージがあった。

 ところがだ。パソコンの画面はだんだんと小さくなっていった。その一方でスマホは大きくなっていった。そのトレンドの違いは、どういうことなのだろうか。

 

広い画面は作業が快適

 モバイルノートパソコンの画面サイズは13.3インチが主流だ。今、ちょっとだけ揺り戻しのようなことが起きていて、14インチが提案されている。画面の周りの額縁部分を狭くして、フットプリントは以前のままか、それよりも小さくして、可搬性と作業領域の広さをアピールしている。

 13.3インチを14インチにすると、対角線の長さは1.05倍になる。面積はその二乗倍になるので1割ほど面積が増える計算になる。13.3インチを15.6インチにした場合は対角線が1.17倍になり面積は1.36倍になる。同じサイズのものを表示したときに、それだけたくさんのものを表示できるということだ。その分作業効率は高まる。だが、大きな画面はモビリティを抑制する。

 まずは、使い勝手よりも持ち運びやすさが優先されたといえるつまり、モビリティは、一般的な生産性を低下させてしまったという考え方もできる。