「軽さは正義」が続く
2020年秋に発表、その年末に発売が開始されたFCCLのLIFEBOOK UH-X/E3、その軽さについては【山田祥平のRe:config.sys】これはもう自分の知っているパソコンではない - PC
Watchに書いたが、実機を手にすると本当にびっくりするほど軽い。ちなみにタブレットのiPad Proの12.9インチ版が641グラムなので、13.3インチの634グラムは画面が大きいのにそれより軽い。これでキーボード込みのクラムシェルノートパソコンで、フルにWindowsが稼働するのだから驚く。
さすがにプレミアムパソコンで万人向けの仕様とはいえないのだが、現実問題として、パソコンを選ぶときに、その重量はけっこう大事な要素となる。
2020~2021年あたり、一般に流通しているモバイルノートパソコンの重量は、1キロ周辺に収束する。それより重いものもあれば軽いものもあるが、800グラム台なら軽量パソコンとして扱われ、1キロを超えるとちょっと重いパソコンという感じだろうか。実際に手にしてみても、800グラム台と1キロ台のパソコンは、同じ大きさなら、その機動性がまったく違うことが実感できる。
やはり軽さは正義で、軽いパソコンの方が使う機会は増えるはずだ。長ければ3年くらい一台のパソコンを使い続けるとして、その間にどのくらいの時間パソコンを使うのかを想像してみるといい。たぶん軽いパソコンの方が使う機会が多くなる。開いて使うのに億劫さがないので、結果として頻繁に使うことになるからだ。つまり、使う時間でコストを割ると安上がりになるというわけだ。1日に5回しかパソコンを開かないか、10回開くかでコストパフォーマンスは2倍になる。
軽量パソコンはパソコンを使う機会を増大する
LIFEBOOKを見ていると、来年は、いや再来年はいったいどこまで軽くなるのだろうかと、興味はつきないのだが、これからノートパソコンを買って、パートナーとして持ち歩き、いろんなところで使おうと思っているのなら、せめて900グラム前後の軽量パソコンを選んでおくのがいいと思う。だまされたと思ってそうしてほしい。
ただ、各社製品ともに、軽さの追求には、ユーザーに対して多くの犠牲を強いる。バッテリーの容量が少なくて駆動時間が短い、スクリーンがタッチに対応していない、熱対策のためにパフォーマンスが出ない、あるいは冷却ファンがうるさい、ボディが華奢など、いろんなことをガマンしなければならない可能性がある。こうしたガマンを少しでも抑制するために、各社のエンジニアはがんばっている。
正直いって、カバンに入れて持ち運ぶのが前提なら1キロを多少超えるようなパソコンでも、そんなに苦痛はないだろう。でも、そのカバンからパソコンを取り出して、いつでもどこでも使う気になれるかどうかを想像してみてほしい。「めんどくさいからスマホでいいや」となってしまえばパソコンの負けだ。
スマホとパソコンは競合ではなく共存をめざすべきなので、それをとやかくいうわけではないが、スマホで気づき、パソコンでその気づきを拡張するという二人三脚的なコラボレーションがシームレスにできるのが理想だ。そういう意味でもパソコンが軽量であることの意義は大きい。