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2020/10/20

紙を意識しない定型文書を考える


 デジタル移行の第一歩は、これまで紙とペンで処理してきた事務作業を、パソコンでの作業に落とし込むことだ。そのために、身の回りの定型文書を見直してみよう。


定型文書を紙用から画面用にリニューアル

 どこのオフィスでも見かける定型文書だが、その多くは、一定の書式の印刷フォームに手書きで固有の情報を書き込みやすいようにできている。書く方は書きやすいし、それを受け取る側も定められた位置に定められた情報が記入されているので、確認しやすい。転記などの際にもまちがいにくいというメリットがある。多くの情報の見栄えと形式、書式を整えるというのが定型文書の目的のひとつだ。

 その定型文書は未記入のものをパソコンで作って印刷したものに手書きで記入していたかもしれない。それがパソコンでの作業に置き換わったとき、手書きのときと同じように、各記入欄にキーボードからデータを入力しているのではないだろうか。でも、そこで得られるメリットは、クセのある手書きの文字よりも読みやすいということくらいだ。

 インターネットを検索すれば、それこそ星の数ほど定型文書のテンプレートが見つかると思うが、手書き記入前提の時代をそのまま踏襲しているものが多い。

 

デジタル移行の最初の一歩

 新しい当たり前に基づいた定型文書は、まず、罫線の撤廃を考える。罫線は人間が手書きするときに、記入しやすくするためにある。パソコンで記入する場合は、罫線があるとかえって見にくくなる可能性も考慮したい。

 いずれにしても、既存の定型文書がフォームに落とし込めないかどうかを試してみよう。見出しと項目が並んでいるだけの定型文書ならカンタンだ。一覧明細などを含むものについても、一件ずつに分割するなどで対応できる場合もある。まずは、Microsoft FormsGoogle Formsを試してみよう。

 理想的には、記入したら、記入したデータだけが、別のファイルに格納されるようになっているのがいい。ちなみにフォームのデータはカンタンにExcelなどのシートにできる。それが、いわゆる基本的なデータベースとなり、そうしておくことで、個々のフォームを束ねた集計などができるようになる。ポイントは複数のユーザーが、ひとつのデータを同時に編集できることにある。パソコンがあってインターネットにつながれば、誰がどこにいても作業ができる。これでもテレワークだ。

 こうしたことをコツコツと積み重ねてデジタル移行を果たしていく。最終的な業務のデジタル化は、やはり専門業者に依頼することになるだろうけれど、Excelで十分という規模のものも少なくないはずだ。誰でもできる簡単なデジタル移行はたくさんある。デジタルにしておけば、最終的なシステム化も容易になるはずだ。