パソコンは今となっては外の世界とつながらない限り、持てる力の多くが無駄になる。使い終わったら片付けるのではなく、いつでも使えるようにしておくべきだ。そして回線を奢ることも重要だ。
パソコンは通信できてナンボ
スマホはいつでも待ち受け状態になっていて、外部からの着信を受け付けることができる。さらに、チョンと電源ボタンを押せば、画面が点灯してすぐに使い始めることができる。画面が消えていてもちゃんとメールやインスタントメッセージを着信する。だからこそ肌身離さず持ち歩いて重宝するわけだ。
パソコンも同じで、いつでもすぐに使えること、そして、何らかの通信回線で外部とつながっていることが重要だ。通信が遮断されている状態のパソコンは「スタンドアローン」と呼ばれている。いわば外の世界から孤立した状態だ。その状態でも、ソフトウェアがあれば、なんらかの作業はできるからこそ、電子文房具的な道具としてとらえられがちなのだが、ごく一般のエンドユーザーがパソコンをスタンドアローンで使ってもつまらないし、役立ち度も抑制される。
数字を見てもよくわからない日本のインターネット
パソコンを外部につなげる通信手段としては、多くの場合、Wi-Fiが使われている。街角のカフェやレストラン、図書館などのパブリックスペースなどでもWi-Fiが利用できることが多い。そこにパソコンをつなぎ、つないだ時間や量を気にせず思いっきりインターネットを使う。月末になってギガが足りないなどという心配もない。でも、一般家庭で使うWi-Fi区間は居宅の中だけだ。その先は、固定系ブロードバンドサービスに委ねることになる。
ただ、総務省あたりの資料をあさっても、世帯ごとのWi-Fiの普及率は見えてこない。資料をいろいろ参照しても、どうにも現状が把握できないのだ。
たとえば、総務省の「令和元年通信利用動向調査」という資料(PDF)がある。ここに世帯別のインターネット接続回線の種類が掲載されているのだが、ブロードバンド回線の世帯当たりの普及率は、なんと89%に達している。その内訳は、光回線が54.5%、携帯電話回線が50.8%、ケーブルテレビ回線が16.4%だ。だが、複数回答なので実態がつかめない。
いったい日本の各家庭はインターネットを具体的にどのような方法で使っているのだろうか。実数でいうと、これまた総務省の「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データ」(令和元年度第4四半期)によれば、日本の固定系超高速ブロードバンドサービス(FTTH及び通信速度下り30Mbps以上のCATVインターネット)の契約数は3,707万だ。この値、固定電話の契約数5,367万よりも少ない。また、携帯電話の契約数の1億8,480万と比べると、ざっくり1/4にすぎない。乱暴な計算をすると、携帯電話やスマホを持っている人が4人いたら、そのうちのひとりしか固定系超高速ブロードバンドサービスを使っていないことになる。この数字が現実としたら、すごくやばい。
全世帯の半分弱が固定系インターネットを使えない?
各方面から聞こえてくる話では、必ずしも日本中の世帯で使い放題の高速インターネットを堪能できる状況にはないようなのだが、本当のところはどうなのだろう。
ちなみに総務省による「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和2年1月1日現在)によれば、外国人住民、世帯を含め、日本の人口が1億2713万8033人で、世帯数は5907万1519世帯だ。
日本にいる約6000万世帯のうち、固定系ブロードバンドの契約が3700万なら半分強。逆にいうと半分弱の世帯は携帯電話回線だけでインターネットを使っている可能性がある。ただ契約数は住宅用と事務用を区別していない値なので、実態はますますわからなくなる。
そもそもパソコンの普及率は先の「令和元年通信利用動向調査」で69.1%と、スマホの83.4%を下回っている。今、パソコンと固定電話の世帯当たりの保有率は同じくらいだ。固定電話を複数回線持っている家庭はあまりないだろう。
日本の将来のことを考えれば、世帯あたりのパソコン保有率は100%を超えてほしいところだが、この調査、保有割合なので、2台あっても3台あっても「パソコン有り」としかならず、永遠に100%を超えることはなさそうだ。スマホについては個人の保有状況も調べられていて、そちらは67.8%となっている。
本当に国は、国民の通信利用の実態を把握しようとしているのか疑いたくなってしまう。
なんてことを調べながら書くのに、通信ができないパソコンというのはとても考えられなかったりするわけだ。