Translate

2020/10/29

個々の機器よりクラウドの容量を奢れ


 かつてのパソコンは電気文房具的な色合いが濃かった。でも、あるときから通信機的に機能することが多くなってきた。いまでは、外部と通信できないパソコンは役にたたないといってもいい。

 


パソコンとスマホの協調

 パソコンが外部と通信する方法のうち、もっとも身近なものはWi-Fiだ。もはやWi-Fi機能を持たないパソコンはないといってもいい。もちろん外部との通信のために携帯電話と同じモバイルネットワークが利用できるようになっているパソコンもある。どっちにしてもパソコンをインターネットにつなぐための重要な手段だ。

 パソコンとスマホは常に競合の関係に見られることが多いが、競合ではなく協調で考えた方がいい。できる、できないでいえば、パソコンもスマホもたいして変わらない。やろうと思えば同じことができる。だから、そのときの状況に応じて、使いやすい方で作業すればいい。満員電車の中で立ったまま文字を入力できるのもスマホならではだ。パソコンではそうはいかない。だが、じっくりとデスクに向かうような作業環境が得られるなら、ちゃんとしたキーボードで入力できるパソコンを使ったほうがずっと効率がいい。

 

機器を選ばないクラウドデータ

 ところが、スマホでしかできないことも少なくない。パソコンでもできるようにするのは技術的にはそう難しいことではないはずなのに、スマホでしか使えないアプリがある。たとえば、ゲームのポケモンGoは、スマホ用のアプリしか提供されていない。だから、つかまえたポケモンを選別して、不要なポケモンをまとめて博士に送るような作業も、スマホの小さな画面でチマチマと作業するしかない。こうしたケースはままあるが、たいていのことはどちらでもできる。スマホもパソコンもコンピューターなのだから当たり前だ。

 その当たり前を、さらに新しい当たり前にしているのがクラウドだ。各機器で入力したデータを、機器ごとで独り占めするのではなく、クラウドに置いて、各機器から同じデータを扱うことで、いつでもどこでもどんな機器でも作業ができるし、作業する機器をとっかえひっかえすることにも柔軟に対応できる。

 YouTubeで公開されている動画は、スマホでもパソコンでも同じものが楽しめる。動画の実体がクラウドに置かれているからだ。同じように、自分が作るデータもクラウドに置いておけばどんな機器でも作業ができる。

 パソコンやスマホの中だけに置かれたデータをできるだけ少なく、可能な限りゼロに近づけるのが理想だ。そのためにも、所有している機器の持つ保存容量を上回るパーソナルクラウド容量を確保したい。いってみれば貸倉庫のようなものだ。大容量のストレージを持つ機器を調達するためにカネをかけるのではなく、自由になるクラウド容量にコストをあてるのが新しい当たり前だ。ランニングコストはかかるが、それと引き替えに手に入る利便性は大きい。