家庭で使われるノートパソコンの多くは、一度も外に持ち出されることなくそのライフサイクルを終えるという。思い当たるふしがある人は少なくないんじゃないか。それでも軽くて小さなパソコンは正義だ。そしてその正義をインターネットへの常時接続が支援する。
家の中でも好きな場所でパソコンを使う
パソコンが身近な存在に感じるようになるのは、パソコンを使う頻度が高まったときだ。なんとなく縁遠い存在だと感じていても、毎日、何度も使うようになると、自分の気持ち自体が傾いていっていることに気がつくはずだ。会社から与えられたパソコンではなく、自分で選んだ自分のパソコンなら余計にそうだ。
そのためにもパソコンは軽い方がいい。たとえ家から一度も外に持ち出さなくても、家の中での移動が億劫にならないようにしておこう。パソコンが重くなければ自在に家の中を移動できる。パソコンが置いてある場所に行かなくても、好きな場所でパソコンを使えるのだ。ステイホームのトレンドの中でも、このことは重要だ。
今どきのノートパソコンは、画面を開いて1秒後には使える状態になるし、バッテリだってスペックが話半分だとしても5~6時間は余裕でもつ。前回書いたように、USB Type-C PDによる電源供給が汎用になったので、使う可能性のある場所ごとに電源アダプタを置きっぱなしにしておくというような使い方もスマートだ。こうしておけば、本体だけを移動させても、電源の心配をせずにパソコンが使える。これで本体を持ち運ぶハードルは一気に下がる。パソコンの存在感は、数年前と大きく変わっている。
パソコンをインターネットにつなぐ
パソコンを開いてすぐ使える状態になったとしても、インターネットにつながっていなければ意味がない。今や、パソコンにとってのインターネットは、必要だからつなぐというものではなく、つながっているのが当たり前のものだ。
一般的な家庭では、光回線を引き込んだり、マンションなどの集合住宅用固定インターネット回線やケーブルテレビインターネットが契約されていて、それにWi-Fiルータがつながり、家中、どこにいても無線でインターネットを使えるというようにはなっていないかもしれない。
でも、なんとしてでもそうしておくべきだ。それにかかるコストは最高の接続環境で5,000円/月といったところだろうか。工夫次第でもっと安くもできる。
多くの映像コンテンツがネットワーク配信で楽しまれるようになってきているし、遠隔医療も現実味を帯びてきた。今後は大学生はもちろん、小中高生だって、日常的な学習にインターネットを駆使するようになる。もう、電気やガス、水道といった基本的なインフラと同じくらいに大事な生命線だと考えていい。
もちろん、スマホを使えばパソコンをインターネットにつなぐこともできるが、家庭内で家族それぞれがそうしていては、かえってコストが高くつく。家にいるときは、スマホも固定インターネットに接続することで、月末のギガが足りない問題も解決するかもしれない。
もっとも、一人暮らしの若者ではさすがにコストに見合わないかもしれない。独身世帯の賃貸マンションが提供するケーブルテレビインターネットが無料で使えても、速度的にはスマホを介して接続した方が高速に感じる可能性もあるから話はややこしい。
個人的には、モバイル通信の料金を下げるのもけっこうだが、あまねく日本全国の世帯に廉価で高速な固定インターネットを浸透させるほうが大事なんじゃないかと考えている。築数十年の集合住宅などで、既存のメタル構内配線を光ケーブルに置き換えるくらいのことを考えてもいいんじゃないか。こんな時代だからこそ、FTTH(Fiber To The Home)が真剣に議論されるべきだと思う。