パソコンは打てば響く存在だ。でも、それは理想であって、いろいろなシーンでパソコンに待たされる。詳しい人はそれを待てるが、知らない人は性急だ。
使って気持ちのいいパソコン
パソコンに詳しくない人の操作を観察すると、パソコンの反応にずいぶんといらだちを感じていることがわかる。とにかくデスクトップで起こる次の展開を待てない。メッセージが表示されても、よく読まないで、そのままエンターキーを叩いたりして不都合な結果を招いたりする。挙げ句の果てには何もしていないのにおかしくなったと訴える始末。
だから、本当は知らない人ほど処理性能の高いパソコンが必要だ。詳しい人は、処理内容に応じてパソコンにかかる負荷を想像できるので、ある程度待たされても、「またか」ですむ。でも詳しくない人はそうはいかない。
処理性能の高いパソコンは高額だ。知らない人ほど、その性能に対して支払う対価で二の足をふむ。どうせ初心者でたいしたことはしないのだから、多少、性能が低くても安い方がいいという結論になってしまう。
メモリ8GBは基本的パソコン権
今、コロナ禍の影響で在宅勤務などが強いられるようになり、パソコンの需要が大きく高まっているようだ。そして、背に腹は代えられないと、とにかくすぐに手に入ることを大前提にパソコンを購入する。それでも注目すべき要素はきちんと見た方がいい。買って大きな後悔をしないために死守するべきは、メインメモリの容量だ。クルマでいえばエンジンの馬力ではなく車内空間、マンションなら専有面積の広さに相当する。かつてはデータを保存するディスクの容量や、拡張ポートの数や種類などが重要視されていたが、これらはさして大事なことではなくなりつつある。クラウドのおかげだ。だから、何よりもメモリの量だ。
具体的には8GB超のメモリを搭載したパソコンを手に入れよう。多い分にはそれにこしたことはない。メーカーお仕着せの量販店頭販売モデルであっても、8GB搭載機を探そう。8GBや16GBの設定を選べる製品なら、他のスペックもそれなりになってついてくる。安いからといって4GB機を選んではならない。もう、カタログのメインメモリ欄だけ見て機種を選んでも失敗はない。本当は16GBあると安心だが、そこは予算との兼ね合いもあるだろう。それに、店頭販売モデルで16GB搭載機を見つけるのはけっこう難しい。これは残念な話だけれど…。
GBはギガバイトと読む。IT周辺での「G」は、「1,000,000,000」を表す補助単位の場合と、ジェネレーションの頭文字として世代を表現している場合があってややこしいが、メモリの場合は前者で容量をあらわす。月末になってスマホのギガが足りないといった使い方と同じだが、装置に内蔵されているメモリー容量なので、必要なときだけお代わりするのは難しい。
メモリの容量は、プロセッサーの能力以上にパソコンの打てば響く感に影響する。しかも、多くの場合はノートパソコンを選ぶだろうから、あとでの増設が難しい。だから購入時に決断するしかないのだ。搭載容量は4GBメモリのもので始まり、次が8GBメモリ、その次が16GBメモリと、順に倍増する。搭載メモリ容量ごとに同じパソコンの使い心地を比べられればいいのだが、なかなかそれは難しい。だから信じてもらうしかない。
2018年の秋に、このあたりの話題を取り上げたコラムを書いたが、状況はそんなに大きく変わっていないのがもどかしい。【山田祥平のRe:config.sys】普通のPCが普通に買えない - PC Watch