2020/09/04

そのメールの署名、ちょっと待った


 いろんなシーンでメールが行き交う。やりとりの内容が確実に記録に残せる上に、相手の時間の束縛も最低限に抑制できる。チャットのように使ったってかまわない。でも、その署名には留意したい。

初期設定署名の変更はカンタン

 かつては、紙の手紙と区別するために、電子メールとかEメールなどと呼ばれていたが、今ではすっかりメールといえば電子的なものを指すようになった。
 メールアプリには「署名」の機能があって、自分に関する情報を設定しておき、送信するすべてのメールに付加することができるようになっている。スマホなどでメールアプリの設定をすると、その初期設定の署名が「iPhoneから送信」などとなっていたりする。以前は、この初期設定署名が、スマホからの送信であることを明確にすることで「多少の誤字脱字や乱暴な言い回しなどを許せよ」という免罪符的なものとしてもとらえられることもあったようだ。ただ、今となっては単にリテラシーが低いとしか思われないかもしれない。


メールの署名は名刺と同じ

 新たに設定する署名については、自分に対してメール以外の方法でアクセスできる方法を明確に記しておきたい。メールアドレスというのは、そのメールの差出人を見ればわかる。だから、必ずしも署名につける必要はない。返信すればその差出人宛てのメールになるからだ。
 だが、後日、郵便や電話で連絡をとるかもしれないし、オフィスで応接するといった可能性もある。そのときに、相手が過去のメールを検索するだけで、それらがわかるようにしておこう。
 たとえば、簡潔な署名でよくあるのが、

凸凹会社 ヤマダ

などというものだ。会社名さえないものも見かける。大きな会社の人からのメールほど、そういう傾向があるような…。
 数人の会社なら問題ないかもしれないが、少なくとも数十人いれば「山田」さんは、複数人いる可能性がある。もっと大きな組織ならなおさらだ。少なくとも、(ある場合は)部署名をきちんと添えて、受付などで伝えれば、確実に本人にたどり着けるような情報を明記しておこう。正しい表記でのフルネームと会社名、必要に応じた部署名は必要だ。フリーランスは書きたくても所属がないので仕方がないが、学生の場合も学校名や学部などの所属は添えた方がいいだろう。
 さらに、住所や電話番号。住所は書いてあっても郵便番号が書いてないケースはけっこうある。宅配便などを送る必要があるのに、郵便番号がわからない、部署名がわからないなどで、発送の手続きのために、会社のサイトをチェックしなければならないことが、それなりにある。
 ちょっと気遣いをして署名を作っておくだけで、ビジネスメールは名刺以上の役割を果たす。渡した名刺を整理してもらえる可能性は低いが、メールはどんどんたまっていく。署名を作る手間は最初の一度だけだ。あとは自動的に付加される。メールを出すたびに、相手に名刺を渡しているのだと思うくらいでちょうどいい。
 なんなら署名に「いつもお世話になります」「取り急ぎご連絡まで」などの文言も含めて、その間に本文を書き込めばいいようにしておくのもいい。挨拶なんてそのくらい形式的なものだと割り切る。
 ちなみに完全プライベートはどうすればいいのか。相手によって伝えたい情報は異なるかもしれない。その場合も、相手がそれを使って過去のやりとりを検索することができるように、ニックネームでもかまわないから、自分を特定できるキーワードだけは署名に含めたい。